△4五角戦法と遭遇

将棋倶楽部24横歩取り△4五角戦法に負けて久々に定跡書を開いたのでメモがてら対局の内容を記録。参照した定跡書は所司先生の東大将棋ブックス「横歩取り道場」の3巻。20年前の本だが△4五角戦法の定跡に劇的な進歩が起きたりはしていないと信じて。

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▲1一角成に△8七銀と打たれ第1図。定跡は△3三桂の方しか覚えていなかったのでここから定跡に頼れなくなった。▲8七同金は△7九飛で悪そう、▲7九金は△6七角成を許すので流石に怖い、ということで▲7七馬と引いたのだが、「横歩取り道場」でも▲7七馬は最善とされていた。

本譜は以下△7六銀不成▲6八馬△8八歩(第2図)と進んだが、局後のCPU検討ではここで▲7七桂と跳ねた手がよくなかったとのこと。「横歩取り道場」にもこの手は変化として記載されていて、△8九歩成▲8六飛(第3図)に△7九とが厳しく後手有利とされていた。ただ、CPUの検討では一貫して▲8六飛に△2六飛を示して以下▲2七歩△6七銀不成▲2六歩△7八銀成▲5八馬と進んで互角の展開だとしており、△7九とには強く▲7九同馬と取って△6七角成▲6八歩で受けに回ればいいようだ。▲7七桂で必ずしも形勢を損ねたわけではないらしい。

横歩取り道場」での最善手は▲7七歩と催促する手で、以下△8九歩成▲7六歩△9九と▲3六香で先手有利とされている。

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本譜は△8九歩成▲8六飛に△9九とだったが、CPUはこの△9九とが疑問手で先手が有利になったとしている。実際対局中も▲7六飛と銀を取れた上で△8九飛▲7九歩△9八と(第4図)と進んで攻めの手番が回ってきたので指せるのではないかと考えていた。ただ、検討にかけた限りではやや有利程度でそこまで大きな差はなかったようである。以下▲4六飛△5四角▲5六香△8八と▲5四香△同歩▲6五桂△4四香(第5図)と進んだが、ここで▲5六飛△4七香成▲5四飛△5二歩▲4八歩△4六成香(第6図)と進めた手順が悪く、本局の敗着となった。

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第5図では▲8六飛が勝り、以下△7八と▲8九飛△同と▲5三桂不成(A図)と進めれば次に▲4一飛が厳しいので△4二金と受けるよりなく、以下▲6一桂成△同玉▲8三角△7二金▲5六角成と手厚く指して先手有利だったようだ。最初に金1枚をぼろっと取らせる手順なので指し切れなかったが、これが最善だった。

また、本譜▲5六飛△4七香成に対して▲5四飛と走ったのもまずく、▲4八歩と打つなら▲5四飛△5二歩の交換を入れずに単に打つべきだった。本譜は手順に△4六成香と引く余地を与えただけになってしまい、先手玉の右辺が壁になって形勢を損ねた。単に▲4八歩と打った場合△5五香と打たれることを警戒したのだが、強く▲5五同飛と切ってしまい△5五同歩に▲5四香(B図)と打つ手が厳しいのでそこまで恐れる必要はなかったようだ。

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本譜第6図以下はあまり見るべきものはない。▲8三角と反撃したが△7四香と打たれ、詰めろになると勘違いして▲8六馬と出てしまい、△7八との局面で後手玉が詰まず負けにしてしまった。△7四香では△7五香が最善だったようで、本譜△7四香に対しては▲7三桂不成△同桂▲7四角成とすれば不利ながらも粘れたようではある。

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△4五角戦法は正しく対応する定跡を知っていれば確実に勝てる相手のはずなので、知らずに間違えて形勢を損ねる順ー相手がその手順に踏み込んでこなかったから助かったもののーを選んでしまったのはしょっぱい結果になった。