久々に自戦記

しばらく将棋から離れていたが、最近またぼちぼち指すようになってきた。レーティングは相変わらず1700台を上がったり下がったりなので偉そうなことを語れるわけでもないが、たまには自戦記を書いてみる。

戦型は相手の角交換四間飛車で、この手の相手には最近は銀冠に組むようにしている。玉のコビンが開く形になるのでその点は少々怖いが、序盤の△8八角成を▲同銀と取らされた後に組める形の中では一番バランスがいいのではないだろうか。角交換系の将棋で穴熊に組むのは流石に自陣に隙が大きくなりすぎるし、矢倉は対抗形ではあまり堅くない。ただ、角交換振り飛車に対しては理想的には▲5六歩は突かずに4七銀ー3七桂型に組みたいところだが、囲いの整備に時間を使わされる関係上後手の△4四歩~△4五歩に間に合わなくなりがちなので、▲5六歩と突いて△4五歩に▲5七銀を用意する形になる。4八銀が下手に動くと△3九角が生じてしまうので、これはこれで駒組みに制約が大きいとも言えそうではある。
第1図で、後手が△4一飛を引く前に△2四歩と突いてきたので、チャンスと見て▲5七角と打った。△2三金と形を悪く受けさせるのと角を手放したのとどちらが大きいかは微妙だが、▲3七桂と跳ねて▲2五歩から動く順があるので手になると踏んだ。▲5七角△2三金▲3七桂△5二銀▲6八金右(▲2五歩△同歩▲同桂に△2七歩▲同飛△4九角の反撃を消した手)に△5四角(第2図)と手放してくれたので、ここで▲2五歩と突いて有利になったと感じた。局後の検討でもここで先手有利になっている。後手は角を手持ちにしているのが強みなのだが、この△5四角にそれを犠牲にするほどの価値はなかったようだ。

第2図から▲2五歩△同歩▲同桂△同桂▲2四歩△1三金▲2五飛△2二飛▲2九飛に△6四桂(第3図)が後手の反撃筋だが、構わず▲2五桂と打って△7六桂には▲同銀△同角▲1三桂成△同香▲8七金打で指せると見ていた。ただ、実際のところは▲7七金右で受け切りに回った方がよかったようではある。本譜は以下駒の取り合いになったが、後手の左金が完全に遊んでいる状態で敵陣に飛車を打ち込む展開になったので流石に有利になったと見ていた。

第4図は、▲4四桂と金取りに打ったのに対して△4三角打と攻防手らしき角を放ってきた局面。実際にはこの手はあまりいい手ではなかったようで、▲5五桂と返せば後手から早い手順はなく(△8七香は▲7七玉△8九香成▲4三桂成△同角▲8九飛でよい)先手優勢だったようだ。本譜は▲7七金右と日和ったので△7四香と打たれてむしろ後手の攻めが早くなってしまっている。こちらは歩切れなので香車を止めづらい。ここでも▲5五桂と打てばよかったのだが、▲5二桂成△同角に▲4五竜と弱気になったのがまずく、△5四角(第5図)が両取りで完全にもつれてしまった。▲5二桂成△同角には▲5二同竜△同銀▲6二銀△7一桂▲6六桂(A図)と後手に香筋を通す隙を与えずに攻め続けるのが最善で、これならまだ完勝ペースであった。全体に弱気な手が問題のケースが多く、先手陣は飛車を渡しても直ちに寄せられるわけではない(△5八飛は痛いが、7四香を外してしまうことができれば致命的ではない)ので、もう少し強気に決めに行くべきだったのだろう。

第5図以下▲5五竜(ここでも▲5四同竜△7七香成▲同金△5四歩▲5三角と進める方が勝った)△7七香成▲同玉△4三角上(第6図)と進むと△8七金と△3八金が受けづらいので後手玉が遠いことも含めてもはや先手が勝ちづらい局面である。この後相手が間違えてくれたので最終的には勝った将棋だが、中盤ずっと優勢に進めてきた展開を一度互角以下まで戻してしまったのでひどい内容であった。