このブログについて

経済学修士課程に在籍する(予定の)学生が、経済学・ゲーム・将棋について投稿するブログになる予定です。

 

プロフィール

2022年3月東京大学経済学部卒業(見込み。ゼミと卒論の単位が来たら卒業できるはず)

2022年4月から東京大学大学院経済学研究科修士課程進学予定。

 

将棋は大学に入って一度すっぱりやめてしまったのであんまり強くはないです。最近将棋倶楽部24のアカウントを作り直して以来はレート1700前後をうろうろしております。

プレイするゲームはその時の気分で結構変わりますが、Stellaris、FTL: Faster Than Light、The Long Dark、Frostpunkなど。

久々に自戦記

しばらく将棋から離れていたが、最近またぼちぼち指すようになってきた。レーティングは相変わらず1700台を上がったり下がったりなので偉そうなことを語れるわけでもないが、たまには自戦記を書いてみる。

戦型は相手の角交換四間飛車で、この手の相手には最近は銀冠に組むようにしている。玉のコビンが開く形になるのでその点は少々怖いが、序盤の△8八角成を▲同銀と取らされた後に組める形の中では一番バランスがいいのではないだろうか。角交換系の将棋で穴熊に組むのは流石に自陣に隙が大きくなりすぎるし、矢倉は対抗形ではあまり堅くない。ただ、角交換振り飛車に対しては理想的には▲5六歩は突かずに4七銀ー3七桂型に組みたいところだが、囲いの整備に時間を使わされる関係上後手の△4四歩~△4五歩に間に合わなくなりがちなので、▲5六歩と突いて△4五歩に▲5七銀を用意する形になる。4八銀が下手に動くと△3九角が生じてしまうので、これはこれで駒組みに制約が大きいとも言えそうではある。
第1図で、後手が△4一飛を引く前に△2四歩と突いてきたので、チャンスと見て▲5七角と打った。△2三金と形を悪く受けさせるのと角を手放したのとどちらが大きいかは微妙だが、▲3七桂と跳ねて▲2五歩から動く順があるので手になると踏んだ。▲5七角△2三金▲3七桂△5二銀▲6八金右(▲2五歩△同歩▲同桂に△2七歩▲同飛△4九角の反撃を消した手)に△5四角(第2図)と手放してくれたので、ここで▲2五歩と突いて有利になったと感じた。局後の検討でもここで先手有利になっている。後手は角を手持ちにしているのが強みなのだが、この△5四角にそれを犠牲にするほどの価値はなかったようだ。

第2図から▲2五歩△同歩▲同桂△同桂▲2四歩△1三金▲2五飛△2二飛▲2九飛に△6四桂(第3図)が後手の反撃筋だが、構わず▲2五桂と打って△7六桂には▲同銀△同角▲1三桂成△同香▲8七金打で指せると見ていた。ただ、実際のところは▲7七金右で受け切りに回った方がよかったようではある。本譜は以下駒の取り合いになったが、後手の左金が完全に遊んでいる状態で敵陣に飛車を打ち込む展開になったので流石に有利になったと見ていた。

第4図は、▲4四桂と金取りに打ったのに対して△4三角打と攻防手らしき角を放ってきた局面。実際にはこの手はあまりいい手ではなかったようで、▲5五桂と返せば後手から早い手順はなく(△8七香は▲7七玉△8九香成▲4三桂成△同角▲8九飛でよい)先手優勢だったようだ。本譜は▲7七金右と日和ったので△7四香と打たれてむしろ後手の攻めが早くなってしまっている。こちらは歩切れなので香車を止めづらい。ここでも▲5五桂と打てばよかったのだが、▲5二桂成△同角に▲4五竜と弱気になったのがまずく、△5四角(第5図)が両取りで完全にもつれてしまった。▲5二桂成△同角には▲5二同竜△同銀▲6二銀△7一桂▲6六桂(A図)と後手に香筋を通す隙を与えずに攻め続けるのが最善で、これならまだ完勝ペースであった。全体に弱気な手が問題のケースが多く、先手陣は飛車を渡しても直ちに寄せられるわけではない(△5八飛は痛いが、7四香を外してしまうことができれば致命的ではない)ので、もう少し強気に決めに行くべきだったのだろう。

第5図以下▲5五竜(ここでも▲5四同竜△7七香成▲同金△5四歩▲5三角と進める方が勝った)△7七香成▲同玉△4三角上(第6図)と進むと△8七金と△3八金が受けづらいので後手玉が遠いことも含めてもはや先手が勝ちづらい局面である。この後相手が間違えてくれたので最終的には勝った将棋だが、中盤ずっと優勢に進めてきた展開を一度互角以下まで戻してしまったのでひどい内容であった。

受けに回れば間違える

今日の対局は右四間飛車を相手にすることになったが、立ち上がりでいきなり角銀交換ができてしまった。当然かなり有利になったと見ていたところで相手が無理やり食いついてきたのが第1図。銀2枚をド僻地に使っているのでどう考えても筋悪な攻めなのだが、端の桂香を取られると駒得は消えてしまうのでその間に何とか手を作らないといけない。そしてそれが案外難しかった。第1図から▲3七桂△2九銀成▲5七角△2八銀成▲6八飛△2七成銀と進んで第2図。

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ここで本譜は▲3八歩と打ったが、手作りをしないといけない場面なので▲3五歩と打つ手が勝った。△3五同歩に▲3四歩と打てば△3四同金には▲1六角があるので桂が取れる形になっている。△3七成銀▲3三歩成△同金寄と進めば自陣の取られそうな桂が敵陣の桂と交換になった形なので悪くはない。本譜▲3八歩には△2八成銀引が最善で、それならこちらからは▲6五歩(△同歩なら▲4六歩と突いて、△4六同歩なら▲4六同角で9一香取りが受けづらい)のような強引な筋しかなかった。▲3八歩に実戦は△1九成銀で第3図。

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本譜は▲8八玉△1八成銀引を交換してから▲4六歩と突いていったが、単に▲4六歩が勝った。△4六同歩▲同角に△4五歩なら▲4五同桂(!)と取ってしまえば1九の成銀を素抜くことができる。▲8八玉△1八成銀引を交換してしまうと▲4六歩△同歩▲同角に△4五歩と打たれたなら▲5七角と引き下がるしかない。

実際は▲4六歩△同歩▲同角に△4四香と打たれたので▲4五歩△同桂▲同桂△同銀▲5五角と進めて駒が働く形になった。こうなると端の成銀2枚が重いのでこちらが優勢であろう。

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しばらく進んで、飛車を取れたものの受けに回る展開になったのが第4図。流石に相手の攻めが細い形なので有利と見ていたが、▲6五飛△7三桂▲6四飛△6五金▲7四飛△7七歩▲同桂△同桂成▲同銀△8五桂(第5図)と進んで食いつかれてしまった。第4図では▲6四飛とここに逃げておけば△7三桂で8五桂に紐をつけられることはなかったし、▲7四飛では▲6三飛成とすれば相手からは飛車を取っても速い攻めがないので△6三同角▲同と△4八飛に▲5三と△同金▲5一飛(A図)が厳しくこちらが優勢であった。

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本譜は△7七歩の叩きを与えてしまい食いつかれた形になってしまった。第5図で▲8六銀とかわしておけばぎりぎり受け切れたようであるが*1、▲7一飛成と勇んでしまった。これは△7八角成▲同玉△7七桂成▲同玉△8五桂(B図)とすれば詰み筋に入っている。B図以下▲8六玉は△7七銀、▲6七玉も△6六歩▲5八玉△6七銀とすれば4四香がよく利いていて先手玉は右辺に逃げることができない。

実戦は▲7一飛成に△7七桂成と取ってくれたので▲7七同金△8五桂が詰めろではなく、▲2一飛(▲2五桂が簡明)△3三玉▲5一角△4二銀▲2五歩と縛って勝ち筋に入った。

一応勝ったとはいえ中盤の入り口からずっと優勢だった将棋を1回負けにしたのはよろしくない。受けに回って相手の攻めを余す展開になることはよくあるが、まともに受け切れたためしが一度もないのでそもそもこういう展開にならないようにしなければなるまい。

*1:▲8六銀以下は△7八角成▲同玉△6六桂▲8八玉△7八金▲9八玉△7七桂成▲9七玉△7六金▲同飛△同成桂▲7一飛△7五歩▲9八金などが展開の一例。

△4五角戦法と遭遇

将棋倶楽部24横歩取り△4五角戦法に負けて久々に定跡書を開いたのでメモがてら対局の内容を記録。参照した定跡書は所司先生の東大将棋ブックス「横歩取り道場」の3巻。20年前の本だが△4五角戦法の定跡に劇的な進歩が起きたりはしていないと信じて。

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▲1一角成に△8七銀と打たれ第1図。定跡は△3三桂の方しか覚えていなかったのでここから定跡に頼れなくなった。▲8七同金は△7九飛で悪そう、▲7九金は△6七角成を許すので流石に怖い、ということで▲7七馬と引いたのだが、「横歩取り道場」でも▲7七馬は最善とされていた。

本譜は以下△7六銀不成▲6八馬△8八歩(第2図)と進んだが、局後のCPU検討ではここで▲7七桂と跳ねた手がよくなかったとのこと。「横歩取り道場」にもこの手は変化として記載されていて、△8九歩成▲8六飛(第3図)に△7九とが厳しく後手有利とされていた。ただ、CPUの検討では一貫して▲8六飛に△2六飛を示して以下▲2七歩△6七銀不成▲2六歩△7八銀成▲5八馬と進んで互角の展開だとしており、△7九とには強く▲7九同馬と取って△6七角成▲6八歩で受けに回ればいいようだ。▲7七桂で必ずしも形勢を損ねたわけではないらしい。

横歩取り道場」での最善手は▲7七歩と催促する手で、以下△8九歩成▲7六歩△9九と▲3六香で先手有利とされている。

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本譜は△8九歩成▲8六飛に△9九とだったが、CPUはこの△9九とが疑問手で先手が有利になったとしている。実際対局中も▲7六飛と銀を取れた上で△8九飛▲7九歩△9八と(第4図)と進んで攻めの手番が回ってきたので指せるのではないかと考えていた。ただ、検討にかけた限りではやや有利程度でそこまで大きな差はなかったようである。以下▲4六飛△5四角▲5六香△8八と▲5四香△同歩▲6五桂△4四香(第5図)と進んだが、ここで▲5六飛△4七香成▲5四飛△5二歩▲4八歩△4六成香(第6図)と進めた手順が悪く、本局の敗着となった。

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第5図では▲8六飛が勝り、以下△7八と▲8九飛△同と▲5三桂不成(A図)と進めれば次に▲4一飛が厳しいので△4二金と受けるよりなく、以下▲6一桂成△同玉▲8三角△7二金▲5六角成と手厚く指して先手有利だったようだ。最初に金1枚をぼろっと取らせる手順なので指し切れなかったが、これが最善だった。

また、本譜▲5六飛△4七香成に対して▲5四飛と走ったのもまずく、▲4八歩と打つなら▲5四飛△5二歩の交換を入れずに単に打つべきだった。本譜は手順に△4六成香と引く余地を与えただけになってしまい、先手玉の右辺が壁になって形勢を損ねた。単に▲4八歩と打った場合△5五香と打たれることを警戒したのだが、強く▲5五同飛と切ってしまい△5五同歩に▲5四香(B図)と打つ手が厳しいのでそこまで恐れる必要はなかったようだ。

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本譜第6図以下はあまり見るべきものはない。▲8三角と反撃したが△7四香と打たれ、詰めろになると勘違いして▲8六馬と出てしまい、△7八との局面で後手玉が詰まず負けにしてしまった。△7四香では△7五香が最善だったようで、本譜△7四香に対しては▲7三桂不成△同桂▲7四角成とすれば不利ながらも粘れたようではある。

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△4五角戦法は正しく対応する定跡を知っていれば確実に勝てる相手のはずなので、知らずに間違えて形勢を損ねる順ー相手がその手順に踏み込んでこなかったから助かったもののーを選んでしまったのはしょっぱい結果になった。

Relentless Night 日記 Day2

食料不足

 The Long Dark、Relentless Night Modの日記、Day2は「焦げた山の背の洞窟」から離れ、プレザント・バレー農場へ出発するところから始まる。しかし、その前にプレイヤーが解決しないといけない問題が転がっている。つまり、食料不足である。「シンリンオオカミの山」の山小屋で見つけたいくつかの食べ物はドッグフードまで含めて食べつくしてしまったし、墜落した航空機からはほとんど食べ物は見つけられなかった*1。クリスタル湖で回収したガマを食べながら食いつないでいるが、このガマを食べつくしてしまったらいよいよ飢えることになる*2

 「焦げた山の背の洞窟」から崖を下ると、徴兵忌避者のキャビンと名付けられた一軒家が建っている。この家は中にベッドがあるので一時的な滞在には便利で、さっそく2時間ほど眠って洞窟からの移動で失った体温を回復しておく*3

 このキャビンの近くにはウサギがいるので、3匹ほど小石をぶつけて肉に変える。ウサギ1匹からは500カロリー前後の肉が手に入るので、とりあえずウサギ3匹で「空腹で体調が減り始める寸前」という状態からは脱した。

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ウサギの首を絞める瞬間。生きていくためには仕方がない。

 これでもう徴兵忌避者のキャビンには用はないので、荷物をまとめて出発する。プレザント・バレー農場にたどり着けばある程度の食料は手に入るだろう。途中寄り道して納屋(プレザント・バレーの離れ屋)に寄ってそこでもアイテムを漁り、プレザント・バレー農場の前までたどり着いたときにまた吹雪が襲ってきた。「プレザント・バレー」は全マップの中でも特に気象が荒く、毎日のように吹雪に襲われることはそう珍しいことではない。

 またもや「疲労」が溜まっているので農場の2階にあるベッドで眠る。時間帯は既に夕方だったので眠っている間に日が暮れてしまったが、食料不足は解消されていないので一晩眠っていては飢え始めてしまう。たいまつに火をつけて外で吹きすさぶ吹雪の音を聞きながら農場の中を探索した。さすがに2階建てのマップ最大の建物だけあってビーフジャーキー、ケチャップチップス、塩クラッカー、ピナクルピーチ缶とそこそこの食料が手に入ったが、これを全部食べてもまだ満腹とは言えない。とはいえ、外はまだ吹雪いているのでここで夜を過ごすしかない。12時間眠ってもまだ夜は明けきっていなかったので、徴兵忌避者のキャビンの周囲に生えていたものを集めていたレイシキノコを調理可能な状態に「準備」し*4、夜が完全に明けるのを待つことになった。

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吹雪の中、プレザント・バレー農場に到着した。

 

*1:低難易度なら機内食が大量に手に入るのだが、これは侵入者ベースなのでチョコレートバーが1本とかその程度しか見つからない。

*2:なお、ガマは他の食品と異なり時間経過で劣化しない上に重量当たりカロリー効率が食料の中でトップクラスなので、本来は保存食として保管しておくべきである。

*3:ベッドには保温効果があるので、体温の回復には眠るのが一番手っ取り早いのである。

*4:レイシキノコやローズヒップは生えているものを「準備」した上で水と一緒に沸かすことで初めてお茶になる。

Relentless Night 日記 Day1

プレザント・バレーへ移動

 The Long DarkのRelentless Night Modの日記、第2回だがDay1である。前回は「シンリンオオカミの山」の山小屋で一晩を明かしたところであったが、この山小屋に長期間滞在することはできない。開始した直後のプレイヤーは生きていくのに不可欠ないくつかのものを持っておらず、その最たるものは服である。

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こんな服装で雪山で生きていくことはできるはずがない。

 山小屋に最低限の帽子とスキー用ジャケットがあったが、プレイヤーが着ているもののほとんどはゲーム開始時に身に着けていたもので、防寒性能はほとんど皆無と言っていい。そして、食料はウサギに石をぶつければ手に入るとしても、衣服はほとんどがこの山小屋のような人工物の中にしか落ちていないので、建造物を求めて山小屋から離れるしかないのである。そして、「シンリンオオカミの山」にはーこれがこのマップが高難度マップとされる最大の理由なのであるがーこの山小屋以外に人工のの建造物は全く存在しない。したがって、「プレザント・バレー」への移動は「シンリンオオカミの山」からスタートしたプレイヤーにとってほとんど必須なのである*1

 食料が限られていることから、この山小屋にこれ以上いる必要はない。幸い空も晴れているし、一刻も早く山小屋を発って「プレザント・バレー」への移動を目指そう。そう考えたのだが、結果的にこれは大きな失敗であった。上の服装を見ればわかる通り、私はまだ手袋を持っていない。しかも、昨夜長い時間冷気に晒されたため手に「凍傷のリスク」が発生していたのだが、これを完全に失念していた。

 なお、「プレザント・バレー」の地図はこちら

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凍傷は、プレイヤーが負うことがある問題の中でも最も重大なものの1つである。

 「シンリンオオカミの山」を出て、「プレザント・バレー」に入った直後、手はとうとう冷気に耐え切れず凍傷を発症してしまった。凍傷は「体調最大値10%減」という症状であり、他のさまざまな問題と異なり治療する手段が一切ない。つまり、私はこのゲーム中今後ずっとHPが10%減った状態でプレイし続けなければならないのである。

 こうして、片手と引き換えに「プレザント・バレー」に移動してきたわけだが、ここまでの移動、特に「プレザント・バレー」に入った直後に行ったロープクライミングによって「疲労」のステータスがゼロ近くになってしまった。「ダークウォーカー」のバッジ実績を使用していることから疲労の蓄積するペースが速くなっているのもあるだろう。しかし、今私が睡眠をとることができるのはベッドがある場所だけである。将来どこかで寝袋を見つければ(屋外で眠ることの危険性を度外視すれば)どこでも眠ることができるが、今はとにかくベッドのある場所へ移動しなければならない。

 幸いなことに、「プレザント・バレー」の「シンリンオオカミの山」への接続ポイント近くには放棄された貯蔵庫*2があり、そのベッドで眠ることができる。ここで都合4時間ほど睡眠をとり、とりあえず「疲労」を許容可能なレベルまで回復した。再出発である。

猛吹雪との遭遇

 しかし、山の天気は変わりやすいと言うが、「プレザント・バレー」の天候は極めて荒々しい。比較的温和な晴天の4時間を睡眠で費やしてしまったため、再出発したときには既に天候の悪化する兆候が見えてきていた。そして、いくらもいかないうちに降り始めていた雪は吹雪に代わり、吹雪は猛吹雪へと変わった。

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こうなってしまうとほとんど何も見えない。

 手に持っていたたいまつは一瞬で吹き消され、気温も(これまでですら低かったのに)劇的に低下する。こうなった時に生死を分けるのは地形に対する理解であろう。私は「プレザント・バレー」のこの場所近くに洞窟があることを把握しており、直ちにそこへ向かった。「焦げた山の背の洞窟」と名付けられたその洞窟に潜り込めば、少なくとも風はしのげるし温度についても若干のボーナスがある。マイナス24度まで下がっていた気温もマイナス16度まで回復、何より風に邪魔されない洞窟の中であれば簡単にたき火が起こせる。

 洞窟の中でたき火を起こして嵐が去るのを待つ。この「焦げた山の背の洞窟」のいいところは、洞窟の中に簡易的なベッドが置かれていることである。これで「疲労」のステータスを浪費することなく時間を飛ばせるのは大きい。こうして、とりあえず吹雪をしのいでいたが、その間に日が落ちてしまった。

 夜になるのを待っていたかのように吹雪はやんだ。ところで、この「焦げた山の背の洞窟」が「焦げて」いるのには理由がある。この場所の近くには中型の航空機が墜落しており、その際の火災で当たりの木々が焼けているのだ。上の吹雪の画像でも航空機のパーツが散らばっていることが分かるだろう。航空機自体には用はないが、その周りに散らばっている乗客の荷物であっただろうスーツケースには有用なものが入っていることがあり、特に衣類が手に入ることが多い。

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最低限とは言え、手袋が手に入ったのは大きい。

 そこで、スーツケースを漁りまわってかなりの数の衣類を手に入れることに成功した。特に、これまで持っていなかった手袋を手に入れることができたのは大きく、これでとりあえず手は保護されているため凍傷のリスクとはオサラバすることができる。保温はまだ8度程度で、長期間生存するのにはまだまだ不十分ではあるが、それでもこれまでのほとんど裸と変わらないような格好と比べれば大進歩である。

 手に入った服を身に着け、余分になってしまった衣類(3個目以降の帽子など)は引き裂いて布を回収しておく(これは、手持ちの衣類を修理するのに活用できる)。そうこうしている間に夜明けとなり、「焦げた山の背の洞窟」を離れて「プレザント・バレー」の中心部へ向かう旅を再開する。目指すはこのマップで最大の建造物であるプレザント・バレー農場である。

*1:なお、「灰の谷」への移動も考えられなくもないのかもしれないが、私は最新のアップデート前のイメージで語っている。

*2:この土地の人間が災害に備えて物資を備蓄していた地下倉庫が放棄されたものらしい

Relentless Night 日記 Day0

 「The Long Dark」というゲームを最近はずっとやっている。カナダ北部の雪山に乗っていた飛行機が墜落して1人遭難した、という設定のゲームだが、サバイバルモード(サンドボックスモード)をメインでプレイしているのでほとんどストーリーは関係なく、ただただ雪山で生き残ることだけを目指している。広大なマップにプレイヤー以外の生きた人間はおらず、コミュニケーション要素の一切ないゲームであるが、その単純明快さがいいのかもしれない。

 プレイヤーはカナダ北部の雪山で、「寒さ」「疲労」「渇き」「飢え」の4種類のステータスがゼロにならないように生き延びていかなければいけない。これらのステータスがゼロになると「体調」(HP)が減少し始め、体調がゼロになればゲームオーバーとなる。サバイバルモードにゲームクリアは無いので、ゲームオーバーにならないように少しでも長い間生き延びようとするわけである。こう言ってしまえば簡単なように見えるかもしれないが、これがおっそろしく高難度であり、初心者殺しと言われるほどである。

 というわけで、せっかくブログを立ち上げたのに全く使っていないのはもったいないので、このゲームのリプレイを投稿していきたいと思う。ただ、通常のプレイは正直飽きるほどやってしまったので、「Relentless Night」というModを入れてプレイすることにしよう。このModがどんな効果をもたらすかはおいおい説明していくつもりだ。

初期設定

 基本的な設定は最高難度の「侵入者」を基準にしている。ただし、「急速時*1の体調の回復率」は「なし」にし、その代わりに「体調の回復率」は「高」に設定している。このゲームを御存じない方のために説明を加えると、このゲームでは最高難度の「侵入者」であっても「急速時の体調の回復率」は「中」に設定されているので、10時間*2睡眠をとれば32%のHPを回復することができる。ゲーム中、「飢え」のステータスがゼロになると1時間に1%の体調を失っていくが、1日24時間のうち10時間を睡眠、14時間を起床に割り振れば、起床中の14時間は全く何も食べなくても睡眠中の体力回復でおつりがくるわけである。この「Hibernation(冬眠)」と呼ばれる食料節約テクニック*3を不可能にするために、「急速時の体調の回復率」は「なし」に設定した。ただし、この設定だと難易度が上がりすぎるので、バランスを取るために平常時の体調回復率である「体調の回復率」は「高」*4にした、ということになる。海外ではこの設定を"Sleepwalker"と呼ぶようだ。

 他の設定はほとんど「侵入者」と同じであるが、Relentless Night Modの特徴を考慮して「オーロラの出現頻度」は「高」に設定した。

最初の夜

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全体マップ

  現在のバージョン(1.93)でプレイ可能な全エリア(一部の小さな「移動エリア」は除く)がこのマップに示されている。今回は「シンリンオオカミの山」をスタート地域にしたいと思う。マップの端近くにある*5このマップは上級者向けの特に厳しい環境(厳しい気象、少ない建造物)なので、開始したらできる限り早く「プレザント・バレー」方面に脱出しなければならないだろう。「謎の湖」や「沿岸のハイウェイ」は初心者向けのやや安全なマップなので、初心者はこれらのエリアから開始することをお勧めする。

 なお、バッジ実績は「ダークウォーカー」*6と「雪の中を歩く者」*7を採用した。

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シンリンオオカミ山の中腹からプレイスタート

 「シンリンオオカミの山」の地図が見たい方はこのリンクから確認できるが、ネタバレになってしまうのであまりお勧めはしない。このゲームは自分の足でマップを歩いて地形を明らかにしていくことを楽しむゲームであるという側面もあるので*8……。

 スタートした場所は「こだまする峡谷」付近の山の中腹、時刻はほぼ真夜中だった。時間帯はランダム設定になっており昼間にスタートできることもあるため、今回はかなり悪い時間帯にスタートしたと言っていい。見ての通りほとんど真っ暗で星明りだけを頼りに安全地帯に辿り着かなければならない。スタート時点ではプレイヤーはほとんど着の身着のままなので、猛烈な勢いで「寒さ」のステータスが削られていく(画像の左端のアイコンに3個の▽が付いていることが分かるだろう)。とりあえず何とかして暖を取らなければ命はないが、スタート時点のプレイヤーはマッチを持っていないのでそもそも火を起こすことができない。

 このマップにおいて断熱機能のある「屋内」は数少なく、マッチが手に入ることが期待できるものとなると山のふもとにある山小屋くらいしかない。というわけで、開始早々全力で山を下りていくことになる。途中で燃やせそうな枝木を拾い集め、倒木でできた木を渡り、熊を見かけて慌てて離れ、と苦労してなんとか山小屋にたどり着いた。この時点までで体調の30%余りを寒さで失ってしまったが、時間をかければ回復することができる。

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山小屋でマッチを見つけ火を起こす。とりあえずこれで今すぐ死ぬことはない。

 山小屋には予想通りマッチが落ちていたので、これを拾ってこれまで集めてきた枝木に火をつけて体温を回復する。持っていた空き缶で雪を溶かして沸騰させることで飲料水を作り、山を下りていく過程で集めていたレイシキノコやローズヒップのお茶を作る。レイシ茶やローズヒップティーの効果それ自体の世話になることはおそらくまだまだないが、これらのお茶は温かい状態で飲むことで寒さを和らげる(「寒さ」のステータスを回復させる)機能があるので、作っておいて損はないのだ。

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ウサギ狩りは序盤における貴重な食料獲得手段だ。

 まだ夜は明けないし、「疲労」のステータスにも余裕があるので山小屋の近くのクリスタル湖に生えているガマを回収する。ガマは150カロリーの食料になる茎と火口になる穂からなる便利な植物で、回収しておいて損はない。さらに、小石を拾ってウサギにぶつけて気絶させ、首を折って仕留める。安定的な食料確保の手段が限られる*9このゲームで、リスポーンするウサギは重要な食料源だ。ただ、首を折るときにウサギがあげる断末魔が耳に残るのだけが欠点だが……。

 ウサギから肉を剥いで焼いて食べ、飲料水を作りながら短時間眠り、を繰り返している間に夜は明けた。とりあえず最初の夜を生き残ることには成功したようである。

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山小屋から見える景色。このゲームの世界は美しい。

 火から何本かたいまつを作り*10、火のついたたいまつを持って山小屋から出る。火を持っていれば狼は恐れて近づいてこないし、たいまつから直接たき火に着火することもできるのでマッチの節約にもなる。

 こうして最初の夜を生き延び、シンリンオオカミの山から離れてプレザント・バレーへ向かうことができるようになった。しかし、屋内と屋外の行き来を繰り返していたためか体調は見えづらいところで悪化しており、この時点で山小屋を離れる判断は失敗だったかもしれない。

*1:「休息時」の誤字。海外のゲームなので所々日本語が甘いのは仕方がない。

*2:ちなみに、ゲーム内の1時間は現実の5分であるが、睡眠や一部の時間を消費する活動を行っている間はスキップされてもっと高速で時間が進む。

*3:10時間の睡眠中はさすがに飢えていては体調回復ができないので、この10時間睡眠に必要な750カロリー分の食事だけを摂取すれば1日を生きていけることになる

*4:1時間あたり1%の体調を回復する。

*5:最新のアップデートで「灰の谷」が追加される前は実際端だった。

*6:夜は疲労が溜まりにくいが、日中は疲労が溜まりやすい。

*7:スタミナの回復が20%早くなる。

*8:そもそも、この記事のようなリプレイ自体ネタバレではないか、と思わなくもない。ネタバレを本当に避けたい人はこの記事を読まずにプレイすることをお勧めする。

*9:ガマやレイシキノコ、ローズヒップといった植物はプレイヤーが一度回収するとその場所には二度と生えることはない。

*10:このゲームでは、燃えている火からたいまつを取り出すことができる。原理は謎だが、プレイヤーが沸かした水がたちどころにペットボトル詰めされるなど突っ込みをいれてはいけない要素は多い。